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2024/07/30

葬儀について

*日蓮宗の葬儀
日蓮宗の葬儀は、故人が迷わず霊山浄土(お釈迦様がいらっしゃる浄土)へ旅立てるように願う儀式です。
しかし、葬儀中に僧侶が読み上げるものはほとんどが漢文の為、参列しても何をしているのかが分からないという方も多いと思います。
実は、仏教においては、「お経を聴く」という行為だけでも功徳を積めるとされています。参列しているだけでもそれが故人の冥福を祈ることに繋がりますので、意味が分からずとも問題はありません。
とはいえ、少しでも意味が分かった方が、より心を込めて故人を見送れるでしょう。
そこで今回は、日蓮宗の葬儀の流れについて簡単に説明します。

*葬儀の内容 ※一例です。状況によって変わります。

1.入場

2.総礼(そうらい):
僧侶が合掌し、題目を三唱します。

3.道場偈(どうじょうげ):
「諸仏にお越しいただき、身命を投げ出して仏の教えに従うことを誓う」という意味の言葉を、音楽のような節をつけた声明のかたちで唱えます。「偈」は仏の功徳をほめたたえる詩を意味し、お経とは異なります。
『我此道場如帝珠 十方三宝影現中 我身影現三宝前 頭面摂足帰命礼』
(今この場は、帝釈天の住まう世界と同じとなり、全世界から三つの宝(仏・経典・僧侶)が現れた。私はまさにそれを目の前にし、五体倒地・頂足して帰命します。)

4.三宝礼(さんぽうらい):
先の道場偈を受けて、仏教における三つの宝と呼ばれる「仏・法・僧」を礼拝します。

5.勧請(かんじょう):
釈尊、菩薩、諸仏諸尊、日蓮聖人など、諸仏および諸尊の降臨のための儀式です。

6.開経偈(かいきょうげ):
お経を読む前に、法華経やお題目の功徳を讃え、信仰を示す為に唱える言葉。
お経とは異なります。
『無上甚深微妙法 百千万劫難遭遇 我今見聞得受持 願解如来真実義』
(この上なく深く想像を遥かに超えるほどに素晴らしい仏教の教えに出会うことは、数百数千万年もの長い時間をかけても難しいが、私はその機会を得られた。願わくは、仏の説かれる真実の教えを明らかにできますように。)

7.読経:
『法華経』の中で特に重要だとされている部分を読み上げます。
日蓮宗では、お釈迦様の教えのなかでも法華経が最も重要な教えであるとしています。法華経を読み上げ、参
列者と故人に教えを説くとともに、それを聴くことによって功徳が得られると考えられています。

8.咒讃鐃鈸(しゅさんにょうはち):
お釈迦様や諸天を讃える詩である咒讃を唱え、シンバルのような法楽器(鐃鈸)を打ち鳴らします。
『阿檀地 仏駄波羶禰 薩婆陀羅尼 阿婆多尼』
※呪文のようなもので、日本語に訳せる意味は持ちません。

9.開棺(かいかん):
中啓(ちゅうけい)という扇子を用いて棺を軽く打ち付けます。亡くなった人が悟りに入ることを予告する意味を持つ儀式です。

10.引導(いんどう):
導師が払子(ほっす※)を3回振り、焼香後、引導文を読み上げます。引導文では故人の徳を讃え、法号(日蓮宗における戒名)を授かっていれば、その由来などを読み上げます。
また、諸天諸仏に対し故人を霊山浄土へ導いてくださるよう願い、故人に対しては、法華経への信仰をもつことによって仏の導きを受けられることを伝えます。

※払子…棒の先に白い毛を垂らしたもの、お釈迦様の髪に見立てて、故人の煩悩を祓うために振られます。

11.焼香:
参列者が順に焼香します。(作法は後述)

12.祖訓:
宗祖日蓮大聖人の言葉を拝読します。

13.唱題:「南無妙法蓮華経」の題目を唱えます。
お題目には、「尊い法華経の教えに従います」という意味が込められており、お題目を唱えることで約89,000文字ある法華経を読むのと同じ功徳が得られるとされています。

14.宝塔偈(ほうとうげ):
法華経を信仰することの難しさと、それを信仰する者の功徳を讃えます。
『此経難持 若暫持者 我即歓喜 諸仏亦然 如是之人 諸仏所歎
是則勇猛 是則精進 是名持戒 行頭陀者 即為疾得 無上仏道
能於来世 読持此経 是真仏子 住淳善地 仏滅度後 能解其義
是諸天人 世間之眼 於恐畏世 能須臾説 一切天人 皆応供養』
(法華経を信じ行うことは非常にむずかしいが、もし僅かでもこの法華経を信じ行う者がいたならば、私(お釈迦様)や諸仏は心から喜び、その者たちをほめたたえるだろう。法華経を信仰することは勇気と精進が必要であるが、この法華経を読みつづけ実践すれば、清く善に満ちた処に安住することができるであろう。)

15.回向(えこう):
故人が仏の世界に辿り着き、来世でも幸せであるように願います。
仏教では、善い行いをして積んだ功徳によって仏の世界へ行けるとされています。
また、「回向」とは、自分が積んだ功徳を故人に与える(回し向ける)ことを指します。
お経を読んだり聴くことも善行の一つと考えられており、読経の後に回向文を読み上げることで、お経で得た徳を故人様に分け与えることができます。

16.四誓(しせい):
衆生を救うための誓いの言葉を唱えます。
衆生無辺誓願度 煩悩無量誓願断 法門無尽誓願学 仏道無上誓願成
(すべての衆生を悟らせよう、すべての煩悩を断とう、仏法のすべてを学ぼう、無上の悟りに至ろう)

17.三帰(さんき):
仏・法・僧の三宝に帰依し仏道に精進する事を誓います。
『自帰依仏 当願衆生 体解大道 発無上意
自帰依法 当願衆生 深入経蔵 智恵如海
自帰依僧 当願衆生 統理大衆 一切無礙』
(自ら仏に帰依し、衆生とともに、仏の教えを信仰します。
自ら法に帰依し、衆生とともに、海の様に深遠な仏の教えを会得します。
自ら僧に帰依し、衆生とともに、全くの疑いなく志をともにしていきます。)

18.奉送(ぶそう):
声明によって、来臨を願った諸仏諸尊の帰還を見送ります。
『唯願諸聖衆 決定證知我 各到隨所安 後復垂哀赴』
(諸仏諸尊には、私が悟りに至れることを約束してくださいますよう。
それぞれの場所にお戻りいただき、また再び慈悲をいただけますよう願います。)

19.退場


*参列される方が葬儀の式中にすること
1)お題目の唱和
日蓮宗の葬儀においては、参列者全員で「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えます。
日蓮大聖人は、法華経の功徳すべてが「南無妙法蓮華経」の七文字に込められているとお考えになり、「法華経を信じ拠り所とする」という意味のお題目を唱えることを何よりも重要な行いとされました。
参列者がお題目を唱えることで功徳を得られ、それが故人の冥福に繋がります。

2)御焼香
仏や故人に香りを手向けることも供養のひとつとされており、御焼香の香りを楽しんでもらい、敬意を表す意味があります。
日蓮宗では御焼香の回数は3回が正式です。これは仏、法、僧の三宝に帰依するという意味があります。(会葬者の人数などによって1回焼香の場合もあります。)
それぞれのご自身の信仰する宗派があれば、それに則った作法で御焼香をしても問題ありません。


【御焼香の仕方】
①祭壇に進み、遺族および参列者に一礼します。
②焼香台の前で合掌し、一礼します。数珠は左手にかけておきます。
③焼香を軽くつまみ、1回額の前に押しいただき、香炉にくべます。
④これを計3回繰り返します。
⑤再度合掌します。
⑥焼香台から2~3歩下がってから遺族および参列者に一礼し、席に戻ります。

*葬儀の意味と役割
葬儀におけるクライマックスは、引導の部分と言えるでしょう。
「引導を渡す」という慣用句もここから来ています。
慣用句としての「引導を渡す」には、「諦めさせる、最後通告をする」といった良くないイメージが強いですが、本来は「死者の魂が仏の導きを得られるようにする」という意味をもつ言葉です。
引導以外の部分は、仏の教えや、それを信仰することの素晴らしさを讃えることに多くが割かれています。これは、仏の教えを耳にし信仰することも功徳に繋がると考えられているからです。葬儀を通して参列者が得た功徳を故人に手向ける(回向する)ことで、故人が仏の世界に行けることを願って見送るのが、葬儀の本義です。
また、親しい方の死に接した時、「もっと何かしてあげられることがあったのでは」と悔やむ方も少なくありません。
故人を想い、葬儀でその魂を仏様の導きに託すことは、そういった心残りを解消するためのものでもあるのです。

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